・・【相談サレ男】・・
私が勝手に名付けた夫のふたつ名()である。
【相談サレ男】とは、【相談女】が相談する
相手に選ぶ男のこと。
ただ本来的には相談女は
「相談すると見せかけて彼女持ちの男を
落とす厄介な女」というような定義であるが
そこはちょっとうちの夫の場合、
語弊がある。
夫は本当に「相談されやすい、しやすい男」
なのである。
まずイケメンではないので相手を身構え
させることがない。
(これを言うと夫から「え!俺イケメンや
ないかい!」とクレームがくるが)。
見るからに草食系で害がなさそうで
ポーカーフェイス。
ニコニコしてよく話すノリがいいタイプでも
ないが、なにげなく話をしたり聞いてくれたりする。
余計なことを言わないので口もかたい。
人の悪口もあまり言わない(これは他人に
興味がないから)。
夫との出会いは大学で学部の先輩だったが、
当時から彼は女性陣からの信頼が厚いようだった。
見方によってはいいように扱われている節もあったが。
人間関係に悩んだことがない
彼は人間関係にあんまり悩んだことがない。
大きな理由はそこまで人に興味がないことと、
深く考えすぎないポジティブな思考にある。
受け流すことに抵抗がない。
彼にとって「周りから嫌われてる人」であっても
それは相対的に自分の評価をあげる存在でもある
のでうまいこと付き合えるのだという。
スルースキルが低くすぐ悪態をついて
人の好き嫌いも激しい私とは正反対の人間なのである。
そんな夫が四十にして惑う
さて、そんな夫が初めて人間関係に疲弊している。
きっかけは今年から管理職になったことだ。
初めて部下を取り仕切る立場になった。
彼のことだからうまいことやるんだろうと
思ったら、現状彼の良さが裏目にでている。
出会って3か月のアラフォーAさん「もっと私の機嫌をとって」
管理職になってとても忙しい部署に
配属された。
新しい業務に加え目の回るような忙しさで
帰宅はさらに遅くなった。
これはあたりまえのことだが、忙しくて
余裕がないから人に不機嫌な態度をとっていいと
いうことはない。あたりまえのことだが(2回言う)。
配属してしばらくして、部下ではあるが
少し年上のアラフォーAさんがふられた仕事に対して
「私この案件抱えてるんで無理ですよね?」
などと冷たい声で強めに発言する機会が増えた。
その度に職場は凍り付き、夫は平謝り。
大変なのは当然彼女だけではないのだが。
そしてある日彼女はブチ切れて
『もっと部下の様子をみてコミュニケーション
をとってほしい』『管理職としてどうなんだ』
と1対1で夫に詰め寄った。
『忙しい私に気付いてほしい声をかけてほしい』
と言ってきたのだ。
それを聞いた私の気持ちは、
何年働いてるんだよ自分から声かけろや(/・ω・)/
彼からの意見しか聞いていないので
彼女だけを責めるようなことはできないのだが
大変なら「ちょっと手がいっぱいでしんどい」
と相談したらいいだろう。
コミュニケーションが取れていないと
感じるなら、ランチミーティングを提案するとか
勤続20年の経験を活かして知恵を出したら
どうですやろか。
不機嫌になって周りに気を遣わせ
上司に詰め寄り、それで明日から仕事が
はかどりますやろか。
わざわざみんなが見れる形で夫にメールを送り
それで気持ちはよくならはりましたか。
呆れるね。
相談サレ男の弱点
「相談サレ男」の欠点は相手を
甘やかしすぎるところだと私は感じていた。
かくいう私もそれに陥りそうになった。
優しくてなんでも受け入れてくれるというのは
相手をつけあがらせることにもなる。
私はずっと一緒にいるからピンチのときにすら
決して怒らず人を責めない彼を何度も見た。
私のせいで新幹線に遅れそうになりやっと着いた
矢先に今度は切符がない!とバッグをガサガサ
しだす私にも
「えぇ?!なんでよ?!」などと言うことはない。
怒ったり非難したり責めたり。
そういったことをするのは簡単だが
それをしたところで切符が出てくるわけではない。
…わけではなくても普通はそれくらいするのだが。
責めて空気が悪くなっても相手のせいであって、
自分は被害者なのだと平然としていればいいのに
そんなことをして相手に反省させて
何かいいことあるかね、ないだろうと夫は思うようだ。
そういう場面に何度も出くわし、
逆の立場になったとき私もこういうふうに
赦せる人になりたいと思うようになった。
でもそれに気付くまでは
私も彼を侮っていたように思う。
だが、付き合いが浅い人からすると
彼はやっぱり都合のよい男になりやすい。
特に女にとって。
出会って5か月目のアラフォー女B『なんでそんなに淡々としてるの』
『もっと気にして声かけて』
夫には同じチームで一緒に働く同世代の
管理職Bさんがいる。
まじめでよい子らしく赴任当初「二人で
がんばろうね」と励まし合っていた。
彼女はAさん事件のときも
『わたしたちの方が大きい案件抱えてるし
仕事減らす提案したばかりだよね。意味がわからない』
と一緒に憤ってくれた。
(夫がAと1対1で話したのは女同士はややこしい
だろうとの配慮からBに席を外してもらった)。
が。
それから2か月経つ間にBさんも
余裕がなくなってきた。
忙しいから朝2人で数分のMTGをして
仕事のことを話す時間をとるようにしていたある日。
Bさんから
『夫くんはいつも淡々としているよね。
もっと私に気を配ってそっちから声を
かけてほしい』
と言ってきたのだ。
夫はもうなんも言えねぇ状態だったという。
淡々としてるってなに(笑)。
忙しくなさそうに見えるのか、と。
夫はがんばっているというか、アクセクしている
姿を見せるのは格好悪いと思うタイプではあるが
毎日残業している。
「ていうか、困ってるなら毎朝のMTGで
言えばよくない?なんのためのMTGだったの」
という言葉をぐっと飲みこんで、
「気付いてあげられなくてごめんね」
「声をかけるようにするね」と。
いや、どこの世界の漫画のカップルだよ。
なんで嫁でもない女の機嫌とらんといかんのや。
と心の中で怒り心頭の夫。
その日見かねた周りのおじさまたちが
残業終わりに飲みに連れて行ってくれたそうです。
いいおじさまたち。
職場で怒ることほどアホなことはない
これを書いてるうちに、でもうちの夫も
上司としてやはり頼りないのかもしれないと思った。
が、先日Bさんが50代の仕事のデキる
おじさん部下とケンカした。
そのおじさん部下は人間もできてる方だったので
俺が悪かったと話を終わらそうとしているのに
『でも問題意識が足りないと思うんでなんとか
しましょうよ!』と謎の正義感でその場を離れず
夫が仲裁したもののその場を収めるのに
結局1時間以上かかった。
時間はそう、PM9時頃。
雨が降り始めていた。
結局なにも進展せず忙しいオジサンと夫の時間が
削られただけだった。
その夜、おじさんから
「俺もさすがに今日は疲れた。
夫くんも大変だね、おつかれ(笑)」
というLINEをいただいたという。
ほんとにできた人。
職場に自分の機嫌を持ち込むでない
これは私の予想だが、年上の部下ともめたことで
Bさんは年明け仕事に来なくなるかもなーと思った。
まじめな性格のBさんは職場で突然消えたり
泣いたりしているらしいし。
私も仕事3年目でうつ病になった経験があるので
泣くのは許してやってと夫に言うと
「20代前半の子が泣くのと40歳超えたおばはん
が泣くのはどう考えても違うやろ」
と言われて、スンってなった。
夫やおじさん部下のように、忙しいんだから
優先順位をつけて仕事をすてる、という
判断が許せない彼女に今後は厳しいだろう。
…しかしAさんもBさんも自分がうまくいかない
ことの矛先をサウンドバックにしてもよさそうな夫にむけ、
むけるだけで終わらず自分の機嫌をとって
もらおうとしているのはどういう了見なのだろう。
「してほしい」の受け身で人に文句を言える
神経がわからない。
そんなことをするのは自分の夫くらいに
してくれよ。
む、夫が聞いてくれないのか?
「仕事をさせてくれ」
「頼むからギスギスせずに仕事をさせてくれ」
夫とおじさん部下の嘆きが切ない。
さぁ、クリスマスイブでプレゼントを楽しみに
している3人の子とうつ病の嫁が待ってる家に
今日はちゃんと帰ってこれるでしょーか!
おわり。





