タイトルは「たぷの里」
とにかく「たぷ」
擬音語が多い赤ちゃんの本ですが、これほどまでに「たぷ」という音を使った絵本があるだろうか、いや多分ない。
それほどまでに「たぷ」が繰り返しでてきます。
ていうか2回に1回「たぷ」。
出典:Amazon
“主食絵本かおやつか絵本か”
絵本のことを「主食絵本」と「おやつ絵本」とわける考え方があります。
前者は想像力をかきたて、長く楽しめるご飯のような絵本。
後者はぱっと目を引く絵柄などで即効性の楽しみがあるおやつのような絵本。
前者はベストセラーになるような絵本で、後者はうんちと書いてあれば子供がみんな食いつくみたいな本です(※うんちは悪くない。うんちのベストセラーもありますので。)
栄養のある主食絵本を多く読みましょうねーという話。
この絵本はぱっと見後者に分類されそうなのですが、実はそうではないのがおすすめしたいポイントです。
意味なんてない、それがたぷ
「たぷ」ってどういうときに使うかと考えると、多分多くのアラサーは安西先生の二重あごを想像するかと思うのですが、大人が日常生活で使う用はあまりないですね。
ところがこの「たぷ」、子供と一緒だと意外と使える言葉なんです。
そもそも赤ちゃんのあごはたいてい「たぷ」です。
腕や太ももが「たぷたぷ」してる可愛いベイビーもいますねーいいですねー。
お父さんのお腹が「たぷ」な子もいるかも。
(本物の「たぷ」ができるなんて羨ましい。私はやらないけど)
それから「たぷ」って読むときなぜか一呼吸置いて
「…たぷ。」と置きにいくように読んじゃうのなんでだろう。
これが「たぷ」ってことなのね…と子供までそっとあごをのせてから
「…たぷ。」と言ってしまうんだからなんでだろう。
読むとそこにしっとりした質感がともなう「たぷ」という言葉。
なんだかとても愛おしく思えてくる不思議な言葉なのです。
この本を読むと、月を見ても「たぷ」。
自転車に乗っても「たぷ」。
お風呂に入っても「たぷ」
お相撲さんをテレビでみたら「たぷ」。
マツコデラックスも「たぷ」。
もうなんでもかんでも「たぷ」に変わって子供は大喜び。
意味はわからないけど楽しいからいっか、とおおらかな気持ちになってしまう。
藤岡先生はこの本の年齢対象を「赤ちゃんから君まで」としています。
赤ちゃんから読んでいるお母さん、お父さん、おじいちゃんおばあちゃんまで。
おやつみたいな本と思うなかれ、と言いながら、おやつな本いいじゃんねー、堅苦しいこと言うなよ、という気持ちになる本なのです。
おすすめ