“絵も内容もすごく好み!”と思ったのがこちら。
「ちょろりんのすてきなセーター 降矢なな さく・え」
年長さん向けの季節の絵本として紹介されていました。
【あらすじ】
とかげのちょろりんは町の洋品店で、暖かそうなセーターをみつけました。でもお母さんもお父さんも「セーターなんかいりません」というばかり。おこづかいの貯金もたりないので、ちょろりんはランプづくりをしているおじいさんのところで、ランプのガラス磨きの仕事をすることにしました。夜通し働いてもらったお金をもって、セーターを買いにいくと、それはヘビ用でした……。
まず設定が絵本とは思えないほどしっかりと作りこまれているのが印象的でした。
ランプの仕事では、まずちょろりんが
「やわらかい こすもすの はなびらで ほこりを ぬぐい」、
つぎに じいちゃんが
「ことりの うもうで すべすべに みがきこ」みます。
この描写を読んだとき、作者の頭の中に広がった物語はとてもリアルなのにファンタジーが溢れていて“すごく好き!”と心が躍りました。
ランプを磨き終え、2人(2匹?)はランプを「だいはちぐるま」に乗せます。
だいはちぐるまってなんぞや。
引用:https://goo.gl/maps/7HW4QbiruhYdrpGj7
トカゲ、セーター、ランプ、なんて出てくるから洋のお話なのかと思いきや、大八車は江戸時代頃に使われていた二輪車のこと。
じいちゃんも背中に「蜥蜴(とかげ)」の赤文字をいれた職人の法被を着ています。
けれど外出時はその法被にハットをかぶっていて、なんとも瀟洒に着こなしているんだから不思議な世界観です。好き。
セーターを売るびきびきおばさんも気難しそうと心配していたけど優しくて、デカいヒキガエルな見た目と妙にマッチしています。
短い絵本という世界できちんと絵本の中に入りこめたような感覚に驚きました。
こういうのはもっと文章の多い児童文学までいかないと味わえないと思っていたので。
絵の繊細さと色彩感覚もとても楽しいのと、なんだか既視感がある気がする…なんだろう…。
引用:https://goo.gl/maps/7HW4QbiruhYdrpGj7
最後の作者紹介を見て腑に落ちました。
降矢ななさんは、有名な「まゆとおに」「めっきらもっきらどおんどん」「ともだちや」等々の絵を描かれていた方なんですが、
スロヴァキア共和国在住なんです。
私2010年頃ブラチスラバを短時間訪れたことがあるんですが、それについてはまた語るとして、あの街はなんとも独特な雰囲気なんですよね。
すごく印象に残ってます。
気になって調べたら、なんと昨年たまたま来日されていてインタビューを受けていたんです。
すごくよかったので読んでみてください^^
親も画家で、叔母さんが福音館書店編集者とか普通の家じゃないはずだ~
そして「めっきらもっきら…」でタイトルを没にされたから「ちょろりん」の素敵なタイトル字ができたんですね。こういう裏話聞けるの楽しい。
「めっきら」「ちょろりん」「きょだいな」とすでに独特で完成された絵を描けているのに『物足りない』と言って31歳でスロヴァキアに留学するのもすごい。
努力や試行錯誤を続けられるって、自分がこの年になると余計に尊敬します。。
しかも去年、原画展やっていたんですね。
ていうかその期間中たまったま東京いたよ!!表参道も行ったよ~泣
最後に、インタビューに載っていた「あたまをつかったちいさなおばあさん」が気になりました。
今度読んでみようと思います。